好きな春待ちソングはありますか? 『二人セゾン』と『僕らの春夏秋冬』

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好きな春待ちソングはありますか?

そもそも春待ちソングなる分類が存在するか否かも怪しいのですが、寒い寒い季節のなかにあって、やがて訪れる春を想い、慕い、暖かさに焦がれる人の気持ちはなんとなくわかるなあ、という気がします。そんな思いが込められた厳寒の真冬に聴く想像上の春を描いた歌、それが春待ちソングかなと。

 

冬の歌、冬ソングには季節の到来を告げるような歌、例えば、冬がはじまるよ/槇原敬之雪の華中島美嘉、のような曲がまず定番としてあって、そしてクリスマスの時期に半ば強制的に聴かされる有名な曲たちのこれでもか!みたいなリピートを耐え凌ぎ(笑)、年を越して3月にかかるくらいになると卒表ソングや桜ソングの時期になる。これらはもう春ソングですよね。明日、春が来たら松たか子春よ、来い/松任谷由美桜色舞う頃/中島美嘉、ここらへんも春を待つ歌、春待ちソングなんだろうけど自分の中では春ソングなんですよね。もうすでに。非常に個人的な感覚のみなのですが。

あと真冬に聴く曲といえば、ゲレンデで聴く曲なんかもありましたけど今はもうスキー場に行くようなこともないですしわからないのですが、それでも今でもきっと広瀬香美の曲は流れているのでしょうね(笑)。ゲレンデの定番曲は冬ソングでもあるけど、どちらかというとシチュエーションソングかな。これも個人的な感覚ですが。

(なんの関係もありませんが自分が好きだったゲレンデソングは、何も言えなくて winter version/J-WALK、です。懐かしい笑)                               

 

空の雲は低く(東京では感じたことないけど)、野や山からは色彩が過ぎ去り、身も心も内に籠りがちになる真冬に、特に1月と2月の頃に、果たして自分はどういう音楽を聴いていたのだろう?

 

 

〇春待ちソングとして最初に意識した『風を待つ』

 

 

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 この曲の良いところについてはオタク的に書き尽くせないほどあるのですが、発売予定日が2月13日(2019年)で、プロモーションが開始されたのが年末から年明けにかけて。歌詞に描かれている世界と実際の季節の重なりがほんとに絶妙で、おそらく純然たる春(桜とか卒業とか含む)ソングにすればわかりやすかったんだろうけれど、あえてその一歩手前の季節を描いているところがほんとに素晴らしいなと聴いた瞬間に思いました。風を待つ、についてはまたあらためて。

 

〇そして脳裏によみがえる『二人セゾン』

 

 

花のない桜を見上げて

満開の日を想ったことはあったか?

想像しなきゃ

夢は見られない

心の窓

                二人セゾン/欅坂46 より

 

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たしか2018年の年末のゲバントホールだったかな?、「風を待つ」のプロモーションビデオの初公開、初披露を目に収めることができ、その日は興奮気味で車を運転して帰ったのを覚えているのですが、同じような季節を描いた曲ってほかに何かなかったかな?と思った瞬間に「二人セゾン」が頭に出てきたことも同時によく覚えています。これこそ春待ちソングだよなと思いました。

 

引用にあげた歌詞の部分以外にも、”太陽が戻ってくるまでに”という歌詞が暗示する季節感、マフラー姿の小池美波ちゃん、冬に春を想う曲として、というか音楽全体としてまさしく名曲!

 

少しそれますが「二人セゾン」の中で、特に引用にあげた歌詞の部分に接したときに、どうしても自分には中学生の頃に国語の教科書に載っていた、染色家志村ふくみさんの桜に関する言葉を思い返してしまうのです。有名な文章ですし覚えている方もきっと多いかと思います。

 

『「この色は何から取り出したんですか」「桜からです」と志村さんは答えた。素人の気安さで、私はすぐに桜の花びらを煮詰めて色を取り出したものだろうと思った。実際はこれは桜の皮から取り出した色なのだった。あの黒っぽいごつごつした桜の皮からこの美しいピンクの色が取れるのだという。志村さんは続いてこう教えてくれた。この桜色は一年中どの季節でもとれるわけではない。桜の花が咲く直前のころ、山の桜の皮をもらってきて染めると、こんな上気したような、えもいわれぬ色が取り出せるのだ、と。』(大岡信『言葉の力』より)

 

これから先、「二人セゾン」が演奏されるということはあるのでしょうか?

 

〇もうひとつの物語『僕らの春夏秋冬』

 

 STU2期研究生に与えられた楽曲「僕らの春夏秋冬」は、1月29日(2020年)の4thシングル発売日近くになってもなかなか公開されず、結局自分がいちばん最初に聴いたのは1月25日の森ノ宮ピロティーホールで行われたライブ。そのライブ会場内で開演前にBGMとして流れていたのを聴いたのが 最初です。聴いてすぐに、これは来たな!と思いました。

 

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いくたびかの季節を経て、主人公は再び桜の樹の一本道にやってくる。春には花が咲き乱れ綺麗らしいがまだ花は着けていない。僕を連れ出してくれた、その「君」はもういない。

 

春夏秋冬

この季節は誰のためにあるのだろうか?

出逢うその人はいつの日か 去って行ってしまうのに

ここから見える道の先に

昔 愛した君の物語

 

 設定された季節のほかに、歌の中の世界に二人セゾンを想起させるような場面もあり、二人セゾンのその後の二人の物語のように感じられる。

  

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 二人セゾンの最後で樹を作っていくシーン、僕らの春夏秋冬ではちょうどプロセスが逆になる。(もしかしたらこちらは樹ではなくて、花びらの散る様子なのかもしれませんが・・・)

 

少しわかりにくですが、二人セゾンの曲のいちばん最後の音に着目してみてください。シンセサイザーの音、音のアタックがじわーっと立ち上がってきているのが聞き取れると思いますが、偶然、僕らの春夏秋冬の曲のいちばん最初で同じようにシンセサイザーの音、音のアタックがじわーっと立ち上がってきています。細かいですが、二つの曲はつながっているか、或は前者をかなり意識して後者は作られたのかなと想像してしまいます。あくまで想像ですが。

 

詩情に溢れた美しい旋律や作編曲は青葉紘季さんと井上拓さんの共作。

青葉紘季さんと言えば、STUにとってはなんといっても「暗闇」、AKB全体でも「365日の紙飛行機」の作曲にも関わっておられるなど、大いに納得。

 

齢のせいか笑、何回見てもいまひとつ2期研究生の顔と名前が覚えきれず、メンバーに対する特別な思い入れなどは無いのですが、2020年いちばん印象に残った曲と言えばこの「僕らの春夏秋冬」になります。双璧として「アナスターシャ」。

 

小島愛子の声が澄みきっていてほんとに綺麗。ずっと聴いていたくなる。

サビに移る直前のBメロのコードのテンションと共に気持ちが浮き上がっていく感覚がとても心地いい。音楽的快感がある。

歌の世界の中の儚さに対して、歌い手である2期研究生のはつらつとした初々しさ。両者の非対称性が楽曲の魅力になっていること。

高雄さやかちゃんがかわいい!

 

せっかく公式さんがupされているので、もしも「僕らの春夏秋冬」を未見の方がいらっしゃったらいちど見てみてください。ライブ映像とかではないのですが。

 


僕らの春夏秋冬〜#おうちでSTU ver.〜/STU48[公式]

 

好きな春待ちソングはありますか?

 

                          (だいせんせ) 

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