感想『少しずつ表現の世界へ』

 

ドキュメンタリー映像を見た。

かつて桜井玲香がある映像作品の中で、乃木坂メンバーの特徴を評して、

 

みんなネガティブで

自分に自信がなくて

 

と語っていたことがある。※

桜井キャプテンのこうした感覚というのは、なにも彼女がひとり感じていたものではなくて、おそらく他のメンバーにしても、そして乃木坂46を応援していた当時のファンから見ても、グループに対して抱くイメージとして自然なものだったと思う。

 

ちょうど先月放送されたテレビ番組『関ジャム 完全SHOW』の中において、秋元康の乃木坂評として、こんな言葉が紹介されていた。

 

乃木坂46の子たちと話したりしていると、

元々本当に自信のない子たちで、

友達とも

あまりうまくいってないような、

引きこもりだったり、

過去には、

いじめられたこともあるような、

そんな子たちだったんです。

 

番組中では、「君の名は希望」誕生秘話のようなかたちで紹介されていたが、乃木坂46が現在のような大きな人気を得て、多くの人々から支持をされるに至った理由はいろいろ存在するだろうが、よく言われているのはその清楚な雰囲気であったり、しばしば”顔面偏差値”なる用語をして修辞なされるくらいの(修辞になってない)ずば抜けた可愛いさ、外見的な美しさであったように思う。しかし、そうした容姿に対する高い評価よりももっと上位にあるものとして、先に桜井玲香秋元康が挙げたようなメンバーの総じて内向的な内面であったり、加えて、似たような境遇にあるメンバーが互いの結びつきや関係性を深めていく様子と、彼女らが成長を遂げていく物語に対してこそ応援する価値を見出していた人も多かったのではないだろうか。

                 前山田健一はInnocenseという言葉で乃木坂を現してみせた(2014年)

 

秋元康の言葉はこう続く

 

そんな彼女たちが、

優等生でも

人気者でもなかったけど、

今は輝いていると歌うから

説得力があるんです。

             ※赤字は番組中で使用されていた通り

 

 

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暗闇から4年

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※2018年2月25日読売新聞日曜版より一部

 

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インターネットの普及により情報はあっという間に拡散するので、各地でオーディションをしても参加者から昔のような地方色は出てこない。

 

ーー

部活で真っ黒に日焼けしたコもいたし、健康的にパンパンに太ったコもいたし、お姉ちゃんのお下がりなのかサイズの合わない制服を着たコもいた。それでも、みんな、瀬戸内の太陽や風のように爽やかだった。土がついたままの産地直送の新鮮な野菜のようだったとスタッフの一人は言っていた。

 

 

「暗闇」誕生にまつわるお話し。石田千穂が書いた挿絵も素朴、これがSTU。いま読み返しても気持ちが少し高揚してくる。”暗闇の後でやって来るもの”、これからも充実した活動ができますように。

 

 

 

 

 

 

感想② 小島愛子の歌、思い出したこと

 

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竹中さんの記事読んで、おぼろげ乍らではありますが小島愛子がなぜ2回目に進めなかったのかを自分なりに理解しました。なかなか厳しいですね。キツい目で見れば、ピッチもリズムも安定感がいまひとつ、滑舌も。けどそんなことを言い出せばキリがない。プロのジャッジに異論はないのだけれど、ちょっとあいこじちゃんにだけ厳しかったかなーという印象は今でも少しだけありますが。

 

自分の中ではそこらあたりはまったく許容範囲で、至らぬところはあったかもしれないが、それを大きく上回る良さが今回の「Precious」にはあったんじゃないのかな。体や手を使った身振り、表情、曲の表現、歌いまわしの構成、どれも去年の歌唱とは雲泥の差、格段に上手くなったなあとばかり思っていたので。指摘なれてる点がさほど気にならなかったのはやはり推しフィルターなのだろうか。(推しというか遠くから応援してるだけですが)

 

ピッチの悪さを全体の表現力で潜り抜けた人?上手く言葉にできないけれど、審査の中で、音程以外の良いところを加点してもらって笑った人と、(おもに)ピッチが原因とされて減点要素となってしまった人、2種類の軸みたいなものが混在していたのではないのかな。なんかそんなふうに理解して自分を納得させています。この企画の良さは機械判定ではなく、人が審査するところ。誰にだって偏りも揺らぎもあるしそこは否定しないしだから良いのであって、いろいろ思うところはあったとしてもこうして日をおいて、こんなふうにコメントをもらえればとてもありがたいですし、ああそうだったのかと納得することができます。

小島愛子(STU48
・決勝大会進出:2大会連続2回目
・1曲目/Precious(伊藤由奈

 同期の池田(裕楽)さん、清水(紗良)さんとはまた違う良さがあって、歌唱力No.1決定戦においては一つ味となる音色の歌声です。1年間の着実なレベルアップも感じられれて、「たくさん努力をしてきてくれてありがとう」と伝えたいです。

 ただ、どこか決勝大会とは相性が悪くて、ガチガチになっていた前回ほどは緊張していなかったものの、リハーサルを考えると、今回もピッチの乱れがあったり、自分の100%は出し切れていませんでした。

 歌手という仕事柄、本番でどれだけ歌えるかが大事だというシビアな面があるので、自分のベストを出せるかどうかが最大の課題。緊張を克服して、ステージでの度胸がつけば、もっと輝けます。焦らなくていいし、小島さんがやってきたことは決して間違っていない。ぜひ、ベストコンディションの歌を決勝大会の舞台で聞きたいです。

 

 

「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」の仕掛け人が第4回大会メンバーに贈る"感謝のメッセージ"【前編】 | ENCOUNT - (3)

 

 

 

自分がなぜ歌い手としての小島愛子が好きなのか?それはいつか歌ったテルーの唄がとてもよかったから。それだけなんですけど。

 

 

歌唱力の結果を受けて、ファンの人(かた源さん)が、どうやったら小島愛子はこのあと伸びるのか、何が必要か?という質問を終了当日、真夜中に行われた竹中さんのスペースで投げようとしたけれど、ちょうどタイミングで黒沢薫さんが退室されたあとで叶わず、そしたら数日後かな、今度は黒沢さんのまったく別のスペースにも参加して同じ質問をしようとされてたの、ほんとに偉いと思う。感心する。推しへの想い。

結局ここでもその質問は届かなかったんだけどね、いろいろ考えてしまうし、どうにもならないことはわかっているけどだけどどうにかしたい!って思うのはどこも同じですよね。

 

今回の結果を受けてからのご本人の様子について、少し心配かなと思ったんだけど今は大丈夫なのかな?(その後のことはよく知りませんが)

けどね、2018年、ちょうど第1回大会の予選が終わった次の日の今村美月さんのモバメを思い出しました。文章がかなり長文で、とてもとても丁寧な内容のメールが届いたことをよく覚えています。

 

彼女は第1回大会の予選で、好きになって、よかった/加藤いづみ、を歌ったけれど予選で敗れてしまいました。そのことについての悔しい気持ちを自らを落ち着かせるような言葉で綴っていました。けど”ベッドの上でで一晩中泣き腫らした”とも書いてあり読んでいてこちらも泣きそうになりました。この時はちゅりさんが同じ曲を歌って決勝に進んでいるのですが、自分が見た感じではみちゅのほうが良かったし、なんか審査の基準がわけわからんなと憤慨もしていました。

今村さんにとってはほんとに悔しくてショックな出来事だったのだと思います。

 

このあと、今村さんは第3回大会まで続けて予選落ちします。歌唱力ということでメロウなナンバーを選ぶのですが(※)、そして、いずれもとてもうまく歌い上げるのですが何故か結果だけがついてきません。相性悪い?理由はよくわからないのですが。自分も「みちゅはもうあんまり力いれてやってこないだろうな」と思っていたところ今回、昔からの”持ち歌”と言っても大げさではないaikoのボーイフレンドを歌って、審査員推薦枠で決勝に進出しました。ピッチ低いですから順位も相応だっと思います。けど悪いところよりも良いところ、可能性を評価してくれる人がいたんですよね。

※第1回 好きになって、よかった、/加藤いづみ

※第2回 あなたに逢いたくて~Missing You~/松田聖子

※第3回 ガーネット/奥華子

 

結果としての今村評ですが竹中さんの表現によると(前述の記事の今村美月評)、

 

バンドの作る音楽と自分を上手く合わせてすてきな音楽を作るという新しい戦い方を提示してくれたので、今大会の象徴的な存在の1人だと思います。

 

ということになりました。新しい戦い方を提示してくれた人、ってこんな最上級の褒め言葉ほかにないと思います。

 

そして思うのは、今村キャプテンも今回優勝した岡田奈々さんも4年間かかって自分の成果を成し遂げたのかな、ということです。お二人の姿に大変感動しました。矢野さんのこの大会に臨む姿も大好きです。この大会の魅力は、出場する人の1年間の努力、懸ける思い、気持ちの強さ、みたいなものを歌を通して感じられるところだと思っています。「Precious」を聴いてまさにそのことを感じたわけです。

サヨナラの向こう側、引っ越しました、テルーの唄、たまに歌ってる乃木坂46の曲、たぶん小島愛子が選ぶ曲、歌う曲、全部好きです。テルーの唄にはなにか救われる思いをしたし、僕らの春夏秋冬のあいこじパートを聴くといつも澄んだ気持ちになります。とても幸せです。

 

小島愛子の歌を聴きたいと思うひとり

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                            (だいせんせ)

 

(あとがき)

矢野さんの、「逢いたくていま」のこと

この曲の矢野さんの第一声を聴いた瞬間の耳に慣れない感じね。

矢野さんについての大会直後の自分の感想、矢野さんには珍しくオリジナルから半音上げてきた件、竹中さんも同じことを述べられていてやはり今回のファクターとして(惜しくも3位ではあったけど)重要な部分だったとあらためて。その流れが書かれてあったことが個人的に大収穫。

 

 

 

忘れてはいけないのは、矢野さんはMISIAさんよりも高いキーで歌っているということ。しかも、彼女のほうからリクエストがありました。最初は「矢野さんぽくない曲だし、さらにキーを上げて大丈夫なのかな」とバンドメンバーと心配していたんです。でも、リハーサルで聞いて、「なるほど、これで勝ちに来たのか」と。MISIAさんの上の音域で、音色を響かせたのにはもう脱帽です。

 

 

 

 

 

 

 

 

第4回AKB48グループ歌唱力No.1決定戦 感想①

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とりあえず、矢野さんの感想を中心にダダダっと思いついたまま乱雑に書く

 

事前のweb記事の中で”勝つための選曲”とあったけどまさかそれがMISIAの「逢いたくていま」だとは思わなかった。もちろん”勝てる曲”には違いないけど同時に”リスクの大きな曲”だと思っていたので。

 

最大の勝因は歌ウマ系のほとんどの人がやって失敗というかつまらなくなっちゃってるMISIAに寄せた歌い方、歌まねモノマネみたいなやつ。あそこに持って行かずに徹頭徹尾矢野さんのオリジナルだった点。最近だったら小田さくらちゃんの動画がそんな感じ。もちろん矢野さんのはそこともまったく異なっていて、黒沢さんがツイッターで講評されていた通り矢野さん自身の歌になっていたこと。.そこに感動があったのだと思う。

 

難しい曲には違いないからね。まあどんな曲にしてもリスクの無い曲はないしね。しかし度胸が半端でない。”勝つための曲”=逢いたくていま、すごい。

 

会場にいないのでわからないけど、曲終盤、いちどサイレントになってから

♪いまあいたい と歌い上げてるところは会場の空間を支配しているように思えたけど客席の人はどう感じたんだろ?

 

曲中での表情とか目線とか感情表現全般がテレビカメラではしっかりととらえられてて、画面越しにすごく共感、感情移入ができた。自然と涙がでてきた。

 

ささっと検索したら選曲ミス、みたいな書き方してる人もみかけたけどこれよく言われてるMISIA(とか宇多田ヒカル)は非整数時倍音でー、ってやつよね。声が太いともいわれてるけどちょい違う。要は矢野さんの声ってどちらかというと整数時倍音の要素のほうが強いから、”声質が違う”という意味で選曲ミスみたいな言葉の表現がでてくるのかなと。自分はそうとは思わないし矢野さん(ていうかみんな)両方を持っているもんだと思ってる。

 

青春の影」は泣いた

 

江田島のUMINOSにピアノ持ってって早朝海岸で「青春の影」を弾いた動画一瞬だけツイッターにあげてたけど残しとけばよかった。3人ぐらいの視聴数だった笑

 

2年越しにやっと聴けた

 

去年のMy Revolutionとかもそうだけど矢野さんのチョイスする曲音楽史的な意義がいつも深い。これもいま定説になってるけど「青春の影」が日本の歌謡曲、POPSの中で絶えず使われ続けてきたいわゆる「カノン進行」と呼ばれる和声進行の元祖、源流。いやそうじゃなくて「翼をください」という説もあるけど鈴木さんほかの方も言ってるように自分も「青春の影」がカノン進行の源流説指示。今回演奏のなにが良かったって佐藤雄大がじゃあ青春の影の源流はどこから?みたいなところに踏み込んでいるようにもとれるハモンドのアレンジをいれてたこと(まあ原曲もそうではあるんだけど)。あれ聴いて「青い影」を思わなかった人はいないでしょう。

 

福山雅治がカバーした「青春の影」なんかは直接的に「青い影」のメロディーを使ってるんだけど。「青い影」が日本の音楽にもたらした影響ってほんとに計り知れない。山下達郎が少年時代に買ったその日に100回は聴いたとかユーミンひこうき雲のもとになった話しとか無数に近い逸話あり。この福山版なんかもそうだよね。

 

ちなみに「青春の影」の歌詞のほうはまあまあThe Long and Winding Roadだし。

 

まあ矢野さんには直接関係はないけれど歴史の重みというかとても意義深い曲に対してまた新しい繋がりとか光を与えてくれたような気がした。これも柴田淳さんカバーのカバーという感じはしなくて、矢野さんのオリジナルっぽいなと感じた。もっとも佐藤雄大アレンジの影響も大きかったとは思うけど。

 

ゆったりとしたテンポのバラードだけど音が上昇する場面だったりクレッシェンドになっていくところでは息のスピードを変えてきていたり矢野さんどっかで誰かの指導うけたのかしら?と思った。それは炎の映像みたときから確信というか、思っていたけれど。メリクリ現地で見たかったな。

 

青春の影は泣いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あらためて「何度目の青空か」の謎のクリック音について

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発売されてからしばらくファンの間で話題になっていた「何度目の青空か」曲中の謎のクリック音について、既出ですが自分なりに”こう思う”というところをあらためて。

〇謎のクリック音とは

もしかしたら聴こえにくいかもしれないですが、イヤホン/ヘッドホンで聴くとイントロが始まって2秒たたないうちに聞こえてきます。曲の裏で小さな音ですが音楽の流れとは無関係に、”コツ”或は”コツコツ”といった音が聞えてくるはずです。

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はじまりの唄に関するメモ

 

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遠坂めぐさんの配信でわかったことと、これまでの流れで自分が思っていることと

ちょっと備忘録的にまとめてみる。

 

・ファイナリストに贈られる曲は当初、秋元康が歌詞を書く予定だった。

・候補曲が2曲用意されていて、もうひとつはテンポのある曲だった。

・仮歌のレコーディングに赴いた日、曲はあったけれど歌詞がなくて黒沢さんに

 言われて仮歌詞を書いた。

・最終的に仮歌シンガーは3人いて、遠坂めぐさん、なかねかなさん、南川あるさん。

・(おそらく)プリプロの段階で黒沢さんご本人、遠坂さん、なかねかなさんの3人で

 録音をおこなった。

秋吉優花が歌っているラストのあのフェイクの部分はデモ段階では黒沢さんが

 歌っている。

・この時点ではあくまで「音」が重視されていて、仮歌詞は音に添うような

 かたちで書いた。仮歌詞を書くのに要した時間は15分程度だった。

・トラックも完成してメンバーの歌入れの段階になったとき、お手本のようなかたち

 で南川あるさんの仮歌が準備された。


www.youtube.com

 

 

 

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はじまりの唄、黒沢薫の言葉と矢野帆夏

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Nona Diamonds

 

僕はこの曲を書くにあたって、AKBグループの楽曲としてではなくて、9人のシンガーのユニットの曲として書こうと思ってました。

 

今日、こうしてファイナリストLIVEを観ていて、たしかに9人のシンガーがここにいました。僕の考えは間違っていなかったと思いました。

 

テレビを見ている皆さん、観客の皆さん、歌が上手くなるって大変なんですよ。すぐには上手くなんてならないんですよ。どうしたって何回も何回も練習をして、自分と向かい合って、それでダメだあって落ち込んだり、あ、これはうまくいったって盛り上がったりそういうことの繰り返しなんですよね。

 

彼女たちはAKBグループの活動(に加えてさらに)の合間にこれをずっとやってきて、このファイナリストLIVEを勝ち取ったわけです。なので僕は最初に楽曲を書くときに、彼女たちの物語にしよう、君たちの物語にしようって決めてました。

 

君たちの物語を君たち自身が歌うってことは、今日集まった(応援している)ファンの皆さんの物語もはじまったんですこれで。なのでこの「はじまりの唄」という楽曲を聴いた皆さんも一緒に物語に参加して、彼女たちをもっともっと応援してください

 

ー第3回AKB48グループ歌唱力No.1決定戦ファイナリストLIVE(3/31放送)より

黒沢薫さんが客席からステージに向けて、ファンに向けて語った言葉

 

 

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