AKB48グループ歌唱力No.1決定戦 雑感② 「萌芽」
自分なりに少し意外に思ったのが、NHK紅白歌合戦への連続出場が途絶えたことが思ったよりも話題になってしまったこと。このことに関するメンバーの発信がとても多かったこと。向井地美音さん発信。
この2年間、先輩方が繋いでくださったバトンを私たちの代で何度も止めてしまいました。そして今日も。それが何より申し訳ないし不甲斐ないです。
だけどここからもう一度…
— 向井地 美音 (@mionnn_48) November 16, 2020
今までの歴史に甘えず、今度こそ私たちが新しいバトンを渡せるように頑張るので、見守っていてください。
AKB48が大好き! pic.twitter.com/Q0M5FtU8AS
例えば元号が平成から令和に変わるときに、「時代の区切り」「時代の終わり」的な語りやまとめが大好きな方々がおられたけれど、ちょうど同じような文脈でこのニュースが乃木坂さんをはじめとした坂道グループとの「王朝交代」や「AKB時代の終焉」みたいなワードでまとめられてしまったなというモヤモヤした印象。
どうしてモヤモヤしているのか?
それはまさに向井地総監督の言葉の通り、実は昨年から(ほんとはもっと前から)ポジションチェンジは明確なのであって、それは48SHOWの打ち切りや(46は特別番組として存続)、オールナイトニッポンのようなずっと日本の若者カルチャーに権威ある位置を占めていた人気深夜ラジオからも外されてしまったこと、こうしたことがもう既に起こっていたことなので、今さら紅白がどうこう、みたいな語られ方に違和感を感じたのです。
舞台、ミュージカル、女性誌のモデル、グラビア、テレビ、バラエティー、もうどこを取り上げてみても坂道グループの隆盛に入り込めるような隙間はないようにも思う。(NMB勢のグラビアだけはガチ)
そんな状況の中で(この前提自体が間違っているかもという思いもある)、いま隆盛を誇る坂道グループには無くて、AKB48グループが独特の魅力として小さな灯を発信しているのが今日で3回目を迎える「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」だと自分には思えるのです。
〇竹中プロデューサーの言葉
この番組プログラムはTBSの企画なのですが、同局の竹中優一プロデューサーが、
いまのAKBグループはファンの力を借りたイベントが多すぎる・・・
メンバー自身が頑張ってファンを喜ばせる・・・
自分で力をつけて独り立ちしていく・・・
的な言葉を、これ一言一句正確ではないし、どの場面でどの番組中か、はたまたACTシアターでの前説の中で言ってたのか、自分もそこまで克明にメモをしていないので正確性を欠くのですが(誰か覚えている人がいれば!)、でもこうした趣旨の発言を幾度かされていたことにとても共感を覚えたのです。
そして最後に秋元康を説き伏せて、この企画の実現を成し遂げたのだと。
すごくいいなと思いました。この企画を追っかけて行こうと。
〇この企画の魅力
歌唱力を競いあう姿を見る、テレビの前の視聴者が自分なりの批評などを繰り広げながら音楽を愉しむ、予選から決勝までそしてご褒美のファイナリストLIVEを含めて、人それぞれにこの番組の楽しみ方はあるのだろうと思う。
とても単純ですが、人が生の気持ちや感情を歌にのせたりぶつけたりしながら、喜びだったり悲しみだったり絶望とか希望とか、あるいは自分の生きざまだったり人生だったり、そういうことを歌で伝えてくれること、歌を聴く、見ることが自分は大好きなのです。これまで中心に見てきた集団でのダンスを主としたパフォーマンスとは明らかに異なる、そして今まででは気づかなかった新しい魅力を感じることができるのです。
歌を通した、ほとばしる剥き出しの感情、ときに抑制、そして情熱に心を打たれるのです。
〇第一回から第三回、予選風景の変化
この番組、特に予選がメンバーの「挑戦の場」「実力発表の場」としてすごく役割を果たしてきているように思えました。
今回ゆみりんが実に堂々とkiroroの「長い間」を歌い上げる姿がとてもよかったです。自分の歌に自信がなくて、歌うイベントだったり場面になると今までだったら恥ずかしがっていたり、どこか避けているようにも思えていたし、歌うことがもしかしたら嫌いなのかな?なんて思うこともあったけど、今回の「長い間」はほんとうに自分を全部だしているような感じがしてすごく心に響きました。
第二回(昨年)予選の甲斐心愛ちゃんが歌ったI LOVE YOU/クリスハート、この動画もしもどこかで見られる人がいたらぜひ見てほしいです。うまく歌の節をまわしてとか、自分を飾ったりするところが微塵もなくて、ただただ切々とまっすぐに♪ILOVEYOUと唄うのです。心打たれます。(祖父目線)
そしてHKTの予選全体を見ていて、他のグループよりも明らかにピッチのぶら下がりが一段階下支えされているように感じました。個人レベルに加えてグループ全体で。なにか一定の訓練なり練習を積んだ人たちの歌い方だなあ、みたいな印象を受けました。これまでには感じられなかったことです。
HKTだけではなくて、チーム8からも実はまったく同じ印象を受けました。
チーム8のみなさんはそこに加えて表情への意識(笑顔とか手ぶり)も感じました。チームとして感じました。この予選の場を通して、予選を目標として一定の訓練を積んできていることが感じられました。
この企画があることが、歌唱力やパフォーマン向上のきっかけになっている。
ファンにとって個性や魅力を再発見、更新する場となっている。
今回の予選を見ていて、予選の位置づけに変化が起きているように思えたのです。
〇ネガティブな意見
も多い分野です。歌唱力の向上がアイドルとしての魅力の向上につながるわけではない。歌には興味がない。アイドルはルックス。さまざまな意見があります。
自分のこの企画をもってAKBの「復活の狼煙」というのはちょっと突拍子もないことだと思います。ただ、他のグループやアーチストさんの楽曲をカバーしたり、その動画をyoutubeなどで発信することで、今までとは異なる層にアピールできることもあるのではとも思うのです。
ほんとこれは顕著だあと思ったことがあって、、野口伊織さんです。
夜に駆ける / YOASOBI Covered by 野口衣織
100万回再生が秒読みまで来ています。
自分はイコラブのこととかまったく知らないのですが、この動画を見てド肝を抜かれました。野口伊織さんご本人の歌を導く力、バックトラックのリアレンジの尋常でないレベルの高さと面白さ!、培った歌の力を外に向けて発揮する方法としてこういう方法もあるのかと。自分のようにまったくグループに興味もなければ関心もない人間が一瞬にして、「いまいちばんライブをみたいグループはイコラブ」とまで決意するに至ったわけです。
他のグループやアーチストさんの歌を外に向けて発表することは、有効な場合が、有効な活用の仕方がきっとあるような気がします。
※その後発表された動画を見てさらに、佐々木舞香さんにもちょっとだけ興味があります。
〇出場するメンバーの思い
・岡田奈々さんの言葉
岡田奈々①「私はこの企画を最初聞いたときに、自分の歌に順位をつけられたり、点数をつけられたりするのが怖かったです。ただ、この企画で、これまであまり脚光を浴びてこなかったメンバーのことも知ってもらうことができました。(中略)歌を歌うということは、人にとっても、自分にとっても、
— だいせんせ (@kokokokua2) March 25, 2019
②
もっと自由でいいと思います。私もこれからも自由に、自分らしく歌を歌っていきたいと思います。」
— だいせんせ (@kokokokua2) March 25, 2019
2019年3月25日のフィナリストLIVEで、その最後の挨拶で岡田奈々さんが語った言葉です。とても正直な言葉で、歌うことの本質をこれほど突いている言葉はないと思います。感動しました。
奈々さんも個人では迷ったり戸惑ったりしながらも、グループ全体のために良いところもあるのではないかとの思いに至ったのだと思います。
そしてそれは事実だったと思います。
そして4日後の3月29日、矢野帆夏が自身の配信の中でこういう言葉を述べます。
「私はこの企画のために、奈々さんに勝てないと1位になれないと思ってやってきたけど、すごくなんか、まだ、なんだろう、すごく、、、まだ、、わかりますか?気持ち」
— だいせんせ (@kokokokua2) March 29, 2019
この矢野さんの言葉がでてこない感じ。
どう表現していいか自分でわからなくなってる状態。
今日の配信のハイライト。#矢野帆夏
これも正直な言葉ですよね。矢野さんは常に「どうすれば自分はSTUにもっと貢献できるのだろう」「地元に恩返しをしたい」ということを考えている人です。もっと言えば、「自分はどうしてアイドルになったのだろう?」ということをいつも考えている人なのだと思います。矢野さんは自分の歌を通して、そしてこの歌唱力イベントで1位を取ることでもっとSTUのためになれると考えています。それは今も変わりません。
ただ、この時の岡田奈々さんの言葉に触れて、自分の歌に対する思いをまた一段あらたなものにしたのかな、もっいっかい自分が歌う理由について思いをあらたにしたのかなと思いました。
その後の矢野さんの歌がどんなふうに変わっていったのか?それはファンの人ひとり一人で感じていることが違っているでしょう。でも僕が感じているのは、矢野さんは
あなたのために歌うようになったと感じています。自分のためでもなくグループのためではなくて、あなたのために歌っていると。
世の中に歌のうまい人はたくさんいるけれど、もはや何が歌のうまさなのかよくわからないのですが、矢野さんの歌は、言葉を超えて身体や表情のすべてで歌の情景を運んできてくれます。そういうところが好きなところです。
〇最後に
あと数時間で決勝がはじまります。
私は会場で観覧させていただく機会をいただきました。ありがとうございます。
出場する人みんなにそれぞれの思いやストーリーがあるはずです。
矢野さんだけが特別なわけではなくて。
歌に込めたみなさんの思いを私は決して聞き逃すことなくしっかりと耳に、目に焼き付けたいと思います。観覧をさせていただく者の最低のつとめだと。
それでも気になる優勝はうーーん、どうでしょう(汗。
ほんとにわからないですね。
どんなドラマが待っているのでしょうか。
どうか出場される方みんなが悔いを残すことなく、思いの限りを尽くしてやり遂げられるよう祈るばかりです。
そして、矢野さんをはじめ、AKB48グループはいまこういうことを頑張っています。チャレンジしています。こんな歌を歌える人たちが大勢います。こんな歌を届けられる人たち、グループです。こんな思いがより多くの人に届き、いつかその心を動かせる日が訪れることを本当に願っているのです。
(だいせんせ)
追記:
磯貝サイモンさんの審査員コメントが楽しみで仕方がない!
バンドの生演奏めちゃくちゃ楽しみ!
超久しぶりに生のみちゅとゆいりーさんが見られる!
※佐々木舞香さんへの興味はほんとにちょっとだけ。でも気になる。
おまえが緊張するなと言われても緊張している!