アナスターシャ①「二拍三連」~割り切れないリズムの揺らぎのドラマ~
鈴木絢音ちゃんがまだ研究生だったむかし、「二拍三連」と題したモバメを送ってきたことを記憶されている方はいらっしゃいますか。
自分もそれを保存してるわけでもないし5年以上も前のこと?でよく覚えていないのだけど、内容的には、
・二拍三連を知っていますか?
・AKBさんの曲ではよくみられるけど※
・乃木坂の曲では少ないように思う※2
というのがおおまかな内容だったかと。
今日アナスターシャを音源で聴いて、最初に思い浮かんだのがこの絢音ちゃんの昔のモバメだった。
※例えば、武道館で絢音ちゃん達が披露したAKBの「初日」のアウトロを思い出して下さい。 最後のアレです(笑)
※2その当時は確かに少なくてすぐに思い出せるのが「ぐるぐるカーテン」のアウトロぐらいで、このモバメのあとに発表された「命は美しい」では二拍三連と見せた付点8分のイントロが来て、そしてこれまでも、というか「ラブストーリーは突然に」以降、J-POPにおいて二拍三連と付点8分の差異がすごく曖昧になったかもしれないという自分の中の問題意識と絢音ちゃんの興味や関心がなんとなく一致してるような気がして(ものすごい誤解)、ひとり勝手に喜んでいたものです。
たぶんもうなに話してるかわけがわからなくなった気がするので(自分でも)、ここまでにしてください笑。このあとはさらに用語解説いっさいなしの迷宮に突入しそうな気がします。
(2015-02-15に2拍3連と題したブログを書いていますが、このブログではなくてたぶん前日か翌日に同じタイトル(漢字だったと記憶)で送られてきたモバメのほうです)
そして、絢音ちゃんがそのモバメの中で二拍三連について
ドラマチックな展開を作るときに用いられてるような気がする
的なことを書いていたように思うんだけど(曖昧)、「アナスターシャ」のサビの部分、いちばん盛り上がる部分
♪ ごめん アナスターシャ
を例えば歌詞でなくてラララ~で歌ってみて下さい。自然と二拍三連になるはずです。ただ日本語の符割りや音付けで崩れる場合もあるのですが、ベースはそれで、まさしく絢音ちゃんが言っていた通り、4つ打ちで進行してきたリズムの中に、ブレーキとアクセントが生じて最高にドラマチックなサビの展開が生まれているのです。
いまひとつわかりにく人はもうひとつ例えば、「サヨナラの意味」のサビを思い出して下さい。
♪ さ ヨーナーラ にー つ ヨークーナ れー
をラララ~で歌ってみる。そしてカタカナ部分を意識してラララしてみれば自然と二拍三連で歌っているはずです。
Aメロで起 Bメロで承 ときてサビで転回するときはみんな盛り上がりと変化を狙っていきたいと思うのでそういう時のドラマチックの演出にこれほど適したものはないと。
曲中で、ごめんアナスターシャ、いつかアナスターシャ、とにかくこのリズムが繰り返し登場してきて流れがとても心地よくてほんとに聞き惚れてしまうのです。
ただ、詳しい人はこれが二拍三連ではなくて付点8分と捉えると思うのですが、自分の結論は
そんなことはどっちだっていい
です。前述した「ラブストーリーは突然に」はおそらく記譜上は三連符だろうけど小田さんは実際にはそう歌ってない(歌っているのかもしれないけどそう聞こえない)。もともと1を3で割るとか、2を3で割るとか割り切れないリズムだから感情の揺らぎでズレたり動いたりしたってそれも音楽のうちだと思っているのが自分。
「命は美しい」のピアノイントロは市販楽譜は付点だけど自分の中の情緒的解釈ではあれは二拍三連。割り切れなさを音楽の面白みと捉えるほうが正解を探し当てるよりも楽しいと感じる派。
「ラブストーリーは突然に」以降の三連符の変容についてははっきり意識があって、たぶんそれはボカロの普及が関係してるのかなと推察してる。
音楽の作り方が
演奏する人が演奏を試しながら作る
から
パソコンの画面上で作る
に変化していくに従って、割り切れないような曖昧なリズムよりもキッチリ計算できてわりきれる音楽に、三連符から付点に変化してきたのかなと。
「アナスターシャ」の曲全体、とりわけサビの盛り上がりから感じられることは、リズムの揺らぎこそ美しいということ。人間が醸す音楽に久しぶりに触れた感があってそこがすごくいい。
最初に触れた絢音ちゃんのモバメ、彼女がふと好奇心から触れた話題に過ぎないのだけど、今回期せずしてこのような素晴らしい楽曲の中でそれが結実したように思えてしまって(これも誤解)、なにか運命的だなあとか思ってしまって(ついでに誤解)、もう何を言ってるのか自分でもわからなくなってきたけれど、結論。
ほんとうに素晴らしい楽曲をありがとー!
これだけ!