「暗闇」と「少女邂逅」

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〇「少女邂逅

 8月に元町映画館に「少女邂逅」を見に行きました。「超能力研究部の3人」以来、この劇場に足を運んだのは何年振りだろうか。この日は神戸における公開初日でもあったので、枝優花監督の舞台挨拶もありました。偶然にも同じ日にメリケンパークでSTUのメンバーのライブイベントがあったのですが、西日本豪雨災害の募金だけを済ませて急いで元町へと向かいました。

 

今日の時点でもう既に「少女邂逅」は話題の映画となっていました。新宿武蔵野館での上映は、期間延長の繰り返しにつぐ繰り返しで、結局当初予定を大幅に超えて2か月間も上映されました。異例とのことです。(その後も渋谷に場所を移し、さらに阿佐ヶ谷、そして全国へとスクリーン数が増えていってるみたいです)

 

今年1月からSTU48のファンになった自分としては、枝優花監督をずっと追っていたので、まずこの映画が香港で、次いで上海で大きな話題を呼んだことは知っていました。特に現地の若い女性からの反響が大きかったようで、枝監督にサインを求める人の長い列や、映画鑑賞後に「少女邂逅ごっこ」に興じる女子のカップルの写真を見たりして、いったいどんな映画なんだろうと強く興味が惹かれました。

東京で封切されたあと、SNS等で鑑賞後の感想などが流れてくるのですが、みなさん慎重にネタバレしないように言葉を選んでいるのですが、ただしエモーションはダダ漏れ笑。ますます興味がわいてきました。(あと、みんなクリームソーダ飲み過ぎw)

 

枝監督って、熱心な齋藤飛鳥ファンにとってはViViで飛鳥ちゃんの撮影をした人としても知られていたらしいのですが、自分の中では、STU48に導いてくれた「暗闇」、その「暗闇」のMVを撮影した人という認識です。その監督さんが、クラウドファンディングで自ら資金調達をし、完成にこぎつけた作品。国内で話題になるよりも前に海外の映画祭に招待をされ、大きな喝采を得た作品。そんな「少女邂逅」に期待を抱かないはずがありません。(「花の94年組」なところも大変注目)

 

さて、実際に映画を見た感想なのですが、やや難解です。いや、難解は間違い。たぶん、見る人によって答えとか感想が異なる映画。境遇とか生活歴。社会的、生物学的、嗜好的、とにかくいろんな性差。言葉にするのがとても難しい。わかりやすく「思春期の少女とは斯くも美しく、しかし残酷で、時を切り刻みながら」なんて言葉を使うのが陳腐すぎてダメ。濃密な物語。あの映画のラストはどういうことだったんだろう?、ずっと謎なんだけど、謎のある人生を与えてもらってちょっと満足だったりもする。

   

cinefil.tokyo

   

各種の解説にもあるように、枝優花監督自身が中学時代に実際に体験した「いじめ」が、その「いじめ」により一時的に声を失ってしまったこと、そうしたことが作品のモチーフになっているとのことです。ここでどうしても思い出してしまうのは、実は「暗闇」MVの中で描かれている世界も、枝監督の実体験がもとになっているということなんです。「暗闇」の場合は高校時代に感じていた悩みや不安、葛藤などを描いたということになっているのですが・・・・・

 

〇「暗闇」

濃淡はあるとしても、どちらも監督自身の実体験に拠る物語。それは確かにそうなんだけれど、映画を見おわったあと、どうしても濃淡の開きが大きい、大きすぎることが気になって仕方ありませんでした。あまりに濃密な「少女邂逅」に対して、一方、「暗闇」MVが淡泊にすぎるのではないか、そこが気になって気になって仕方なくなってしまいました。映画とMVだから違うの当たり前なんですけど、ここまでしっかりと見せ場や盛り上がり、構成を作ってる人が、その同じ人がなんで「暗闇」では?と思ってしまったわけです。

 

「暗闇」MVに導かれてSTUに来た自分なので、当然「暗闇」は大好きです。まず大好きな大三島(と伯方島)が舞台であること。大三島、瀬戸内の魅力をあますことなく伝え、表現している「暗闇」MVが大好きです。個人的に以前から何度も訪れている場所にもかかわらず、1月に発売された後も既に何度も大三島を訪れています。コロラド州からやってきたファンを案内したりもしました。第二のふるさと言っても言い過ぎではない大切な場所、大三島。全編を通して大三島の自然、美しさを伝えるこのMVはほんとに素晴らしいものだし、このMVを見てしまなみ海道を訪れた人が多くおられると思います。

 

natalie.mu

 

〇「演技に関するワークショップを3回させていただいた」

3月17日放送のAKB48SHOWで、枝監督はこのように述べておられます。また、メンバーの特徴、個性をいちはやく掴むためにメモをとったり(メンバーの特徴の捉え方がさすがだなあと思う。的を得てるし、納得。特に瀧野)。放送の中でどのメンバーも口をそろえて、「演技」「お芝居」「ストーリー性」という言葉を述べていていることもあわせて、実は、このMVってほんとうはもっと女の子の、或は思春期のもっと濃密な物語を描いていたのではないのかなあ?と疑問を抱くようになったのです。例えばそれは乃木坂46のMVでよく見られるような。 

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                       (※枝優香監督のTwitterより)

 まず3回もワークショップをやることって、(自分にはわからないことだけどそれにしても)普通は無いように思う。それに合わせるように、メンバーの意識がお芝居にぐっと近づいていってることが放送を見ててすごくわかるし。ところが、完成した「暗闇」MVが描いていることって、徹底して「瀬戸内の美しさ」なんです。これは「暗闇」に限ったことではなくて、「瀬戸内の声」「思い出せてよかった」「ペダルと車輪と来た道と」、(「夢力」はCGB41)、すべての楽曲のMVにおいて共通していることは、「瀬戸内の美しさ」が全面に押し出ている、ということです。STU48の成り立ちから考えて、それは当たり前すぎることなのですが・・。

 

「暗闇」でのメンバーの演技や、枝監督の持っていきたい方向性ってどういうことだったのだろうか?「暗闇」MVに関する満足と疑問、そんなことが念頭にあった中での「少女邂逅」の鑑賞だったので、頭をガツンとやられたというか、むしろどんどん疑問が膨らんでいったのです。 

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〇映画が終わって、監督に直接質問してみた

映画が終わったあとサイン会があったので、思っていたことを直接監督に質問してみた。

「監督、自分はあれってほんとはもっと膨らみのあるお芝居が構成の中心にあって、でも、結果としては自然美とか地域のPRがすごく前に出ていて、やっぱりせとうちDMOかどうかわからないけど発注側の意向ってすごく大きかったんじゃないのかなと思ってるんですけど。」

 

と、なんともいきなりぶしつけな質問をしてしまいました。(ほんとごめんなさい)

もちろんこの種の質問に正面から答えてくれる人などいません笑。質問を受けた監督の反応は、とてもびっくりされた様子で、「えぇぇーーー、xxxxxxxxxかー」。ちょっと直接の言葉は記載ができないのですが、大変びっくりされてたように思います。でも、意外とたくさんお話しいただけて、要約だけ。

①いろいろと「大人の事情」はあった

②現場ではいっぱい喧嘩した

③なにより「暗闇」は、あの子たちのデビュー作だった。デビュー作だったことが大きい。

 

想像ですけど、監督さんの「作家性」よりも「瀬戸内の魅力を全国に発信する」ことが優先されたのかなと思ってます。自分の場合、乃木坂46のファンで、クリエイターの作家性とメンバーの個性が混ざり合う、そこから生まれる魅力に憑りつかれていたところがあるので、まだそういう癖が残っているのかもしれない。繰り返しになるけど、「暗闇」MVに不満はない。ほんとにありがたい、宝物のような存在。けど一方で、枝優花が指向したであろう「暗闇」とはほんとはどんなものだったのだろう。そこの興味も尽きない。今回、「少女邂逅」という作品に出会わなければ、心に突き刺さるような気持ちを抱くことがなかったならば、こんなふうには思わなかったはずです。こんな映画体験をしたことははじめてかもしれない。

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少女邂逅」から膨らんだ妄想におつきあいいただきありがとうございました。枝優花さんとSTU48が「邂逅」を果たしてくれたことが何より最大の喜びであり、メンバーにもファンにとっても収穫だったのではないでしょうか。その後、枝監督はまた広島に来て、メンバー全員の総選挙ポスターの写真も撮っていただきました。どうかこれからもSTU48と永く関わっていただきたいと、一人のファンとして思います。これからの作品も追いかけていきます。ありがとうございました。 

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〇まとめ

ゆみりんかわいい

 

                  (だいせんせ)